中国は広い、深い、大きい。人口も日本の十数倍ある。だから、一口に中国、中国人といっても、全然違う。一口でなんか、言えないのだ。人も風土も、考え方も歴史も、異なる。
まず、漢民族と少数民族では、民族が違う。そして同じ漢民族でも、北と南では人が違う。北方中国人と南方中国人では、遺伝子が日本人と中国人の違いと同じくらい違うと読んだことがある。都市と農村でも、違う。沿岸部と内陸でも、違う。
そして、上と下でも違う。上と下とは、為政者と民衆だ。つまり政治家や行政人と、民間人・一般人だ。
その民衆の戦略と叡知を表す言葉に「上有政策、下有対策」というのがある。
長い歴史の中、中国の民衆は、上のものが何らかの政策を打ち出したり、政策が落とされたりしたら、その対策をしてきた。
政策は、それがよい場合と悪い場合がある。どんな政策であれ、自分にとって大丈夫なように対策をとるのだ。たくましい。
何しろ、お上はいつか代わるし、皇帝も替わる、時代もいつか変わる。ましては政策はボンボン、変わる。そこで、上有政策、下有対策だ。
私は今、この「上に政策あれば下に対策あり」という知恵を、いま反芻している状態だ。