コロナ禍の大学などでオンデマンド授業について、よく言われていることがある。それは、繰り返し見ることができて、良いと。
でも、もとからある放送大学の授業だって、そうだ。録画をして、分からないところは何度も再生して理解する。そして、忘れた頃にまた見る。
あれ、書籍に似ている。書籍、つまり本のことである。図書館や本屋さんや、自分の本棚に並んでいる、本のことだ。
本というのは、究極のオンデマンド講義だ。哲人の弟子との対面授業が記録されたモノや、亡くなったあとに弟子が書き留め編集したモノが、いま、読める。
遠い国の先駆者が書いた記録を別の国の言語で読み再生する。違う世界の人間が妄想した未来を、次の世代の私が検証しながら再生できる。
巨匠たちがフィクションで真実を表現すると、それを漫画や映画の巨匠たちが、自分なりに再生表現する。そして観客は、どちらも再生しながら楽しめる。
本は、分からなかったら、何度でもその部分を読める。再生できる。
本こそ、時代と場所と時間を越える、究極のオンデマンド授業だ。究極のオンデマンド・エンターテイメントだ。
私の本棚には、何十年たっても再生する本と、何回も何度も再生した本が、並んでいる。