能狂言の動きを、喩えた言葉がある。
「全力でゆっくり動く。全力で留まる。全力で“動かない”」
確かに、能や狂言のビデオでのアップでは、立ったまま何も言わない役者が、大汗をかいている、のを見ることがある。
そう。動かずにいることは、力が要る。
同じように、中国の古典や仏教でも、こんな人が描かれている。
何もせず、必要になって初めて動く大人(たいじん)。強い意思を持って、敢えて介入しない大物。救いを求められた時に、やっと救う菩薩。
そう。我慢することは、力が要る、
今日、ある悩み事である人と話したら、「あなたもそれをする段階だ」旨の言葉を受けた。
そう。挙動を押さえるのは、力が要る。
私も「全力を尽くして、動かない。全力で我慢し、手を出さない。全力で留まるり、相手を待つ」ことを覚える時期だろう。