昔、中国に留学したころ。
留学生の間で、話題になった文章がある。語学学校の教科書に載っている文章だ。教科書に載っているくらいだから、その時の政治情勢に合致した又は迎合した文章である。
毛沢東や中国共産党を誉め称え、さらに褒め称え、そしてさらに称賛し。しかも文豪だから素晴らしい文章だ。
しかし、留学生の間では、ただの時代に迎合した文章とは、受け取らない者が多かった。
「絶対、誉め殺しだよ」「いや違う、裏切り者だ」「いや、中国政治の凄まじい闘争をくぐり抜けようたした文章だ」「本人は意図していない」「いや本人、相当、見えるほどの異図をして、しかし攻められる隙をつくらなかったのだ」
それこそ、大論争だった。ま、日本人留学生の小さな世界の中でだけど。
時たま、それを思い出す。
この作家は、わざと、分かる人だけに分かるようにかいたのか。この作家は、わざと、分からない人にも分かるように書いたのか。この作家は、わざと、誉め殺しで時代をかい潜ったのか。
その時代の人は、賛嘆する。10年20年スパンの人は、避難する。100年後の人は別の評価をする。と、思ったのか思わなかったのか。
いつか、分かる人が分かってくれるのをまっていたのか。分かる人が引き継いでくれるのをまっていたのか。
それとも、当時の首脳を本当に称賛していたのか。
とにかく。
比べれば、日本は甘ちゃんである。