達成感というのは、それは素晴らしい感覚だ。
苦難をのりこえ、努力を続け、そして達成したものだけが獲得する感覚だ。充分に味わうべきだ。
何かに成功したときに、味わう歓喜、とても重要だ。それまでの艱難辛苦を経たからこそ成功するのだから、その歓喜に浸るのは、成功の報酬の一部だ。
勝利の喜び、圧倒的勝利の歓喜。これも、勝者に与えられる特権だ。勝つまで闘った、怯まなかった、おじけずかなかった、その凄まじい努力への褒美だ。
だが、魔は天界に住む、という。その歓喜に強すぎたり長かったりすると、人はふと“万能感”に満たされる。
自分は何でもできる、という感覚。自分は正しい、という過ぎた感覚。自分は~があるという、強すぎる感覚。
この“万能感”は、危ない。非常に危ない。
私は、若い頃、何度それで失敗したことか。愚かな頃、何度、それで自分に自分の足をすくわれたことか。
今なら分かる。他人を見ていて分かる。私より若い人を見ていて分かる。
時には、グループやチームで、そういう共同でその感覚になることがある。
指摘すべきか。私はその立場にあるか。本当に忠告するほどの状態か。
私の“老婆心”が、疼く。