「戦争において下手で早いは聞くが、長引かせて巧みは見たことがない」とは、孫子の兵法の一節である。
孫子が、現代ビジネス社会でも重用されるわけだ。
つまりは、勝負や競争、紛争は、下手くそでも短期で終わらせるのがよく、どんなに勝ったとしても長引くのは、良くない。
戦いが長引けば、互いの“戦費”はいつか尽きて、被害は増え続け、別の不都合も起こし、新たな不幸も生み出す。
勝負や戦いが長引くことは、それだけで戦争が起こるのと同じくらい「悪」なのだ。
戦いは、拙くとも速ければ、それによって、反価値をひっくり返して、価値を創出することもある。
さて私は。
この半年、私は二つの闘いの決着があった。
一つは、1日で片をつけた勝負。ある朝、事案が私のところに来て、1日で勝負した、ということだ。
私側の担当者に業を煮やした相手側が、直接、代表である私に内容証明つきの重要書類を送ってきた。その時、初めて重大な事態を知った。
そして私は、即座に“負けた”。相手側が正しいからだ。そして、ビジネスにおいてスピードは命だ。
相手側に朝一番に電話で謝罪し、誠実な対応の約束をし、様々な手を打った。翌朝、紛争終結の電話が、相手側から来た。そして終わった。
そのあと。その紛争の内部処理を進めたら、なんと、それによって、結果的に「6年の長きにわたるバトル、ゆえに被害が増え、ゆえに傷跡が深く残り、ゆえにどちらも勝者といえない、ゆえに反価値しか生まない、そんな紛争」を解決する、という事を引き出した。
二つの勝負。即日解決と、引きずり続けたバトルの決着。
この6年間、孫子の兵法を、何度も読んだことがあったが、この一節は、他人事だった。
今読むと、身にしみて理解できる。
長い闘いは、勝っても負けても、双方を疲弊させる。私も、6年のバトルの恨みつらみの蓄積に、そーとー疲れていた(笑)。
もう今後は、これを肝に命じて、闘いはすべて短期決戦にする。
どんなに拙くとも、負けてもいいから、闘いは短期決戦だ!そう決めた。